山岳科学学位プログラムは、日本初の山岳科学に特化した大学院です。
(平成29年4月開設)

山岳科学学位プログラムは、筑波大学・信州大学・静岡大学・山梨大学の4大学が連携する新たな大学院(博士前期課程)です。山岳地域を取り巻く環境問題の解決や山岳生態系の持続的管理などに対応できる人材育成を目指しています。
修了時には、「修士(山岳科学)」の学位を取得できます。

人材育成目的

  1. 山岳域における自然変動・人間活動に伴う地圏・水圏、生態系、自然資源に関する課題の解決に貢献できる人材を育成する。
  2. 山岳域に特有な上記の課題を理解し、豊かで力強い地域社会の創生に必要な知識と技術を備えた人材を育成する。
  3. 幅広い視野と専門的な知識により的確に対策を講ずることができる判断力・行動力を備えた人材を育成する。
修士(山岳科学)とは

山岳科学の研究能力と山岳域の環境問題の解決に資する学識を持つ者に対して授与する修士号

山岳域の環境問題

山岳地域は、森林資源や水資源、観光資源など多くの恵みを私たちに与えてくれる一方で、過疎化や林業衰退により森林利用や中山間地問題などの多くの課題がでてきました。更に近年、気候変動や自然災害、生物多様性の損失など山岳地域は多くの環境問題を抱えており、山岳環境と人間生活の持続的な関係を考えていく必要があります。

山岳科学が関連する分野

本学位プログラムでは、大学・専攻の枠を越えた連携と山岳科学に関わる分野の融合によって修士(山岳科学)を創出します。各大学が持つ多様なフィールドステーションでの実習・研究活動を通じて、山岳域の諸問題を解決する人材育成を目指します。

6者協定について

筑波大学、静岡大学、信州大学、山梨大学、林野庁関東森林管理局、中部森林管理局では、山岳域における諸課題の解決に必要な高度専門人材の育成、調査研究、技術開発等について連携及び協力して取り組むための協定を結んでいます。この協定を活かして6者が協働して国有林をフィールドとした実習、個別研究など教育研究を展開しています。

くわしくはこちらをご覧ください。
【プレスリリース】筑波大学、山梨大学、信州大学及び静岡大学と林野庁関東森林管理局 及び中部森林管理局の連携と協力に関する協定の締結について

期待できる進路

山岳域の諸課題に携わる国家・地方公務員、国立研究開発法人/地方研究機関等の研究員、一般企業、組合等職員、NPO/ NGO など

アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)

  1. 山岳域における諸現象・諸課題に強い関心を持ち、それらの解決に具体的に貢献する意欲がある人材を求む。
  2. 自然科学あるいは社会科学に関する基礎的な学力を有しており、専門知識に加え、山岳科学の複数の領域にまたがる知識、技術等を習得する意欲がある人材を求む。
  3. 山岳科学に関わる実務等に従事している社会人等を含め、幅広い分野からの人材を受け入れる。

カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成方針)

山岳環境の保全と管理に不可欠な幅広い教養と高度な専門性を共に身につけられるよう、専門基礎科目と専門科目を開設する。学習の成果は最終的に修士論文として取り纏められる。

専門基礎科目は、山岳科学概論、山岳フィールド実習および実践スキル科目群で構成される。

  • 山岳科学概論では、様々な分野の専門家から山岳環境に関わる諸課題を系統的・網羅的に学び、幅広い基礎知識と俯瞰的な理解力・思考力が習得できる。
  • 山岳フィールド実習では、4大学が有する教育研究拠点を主なフィールドとして実施され、山岳科学では必須ともいえる野外調査技能が習得できると同時に、状況判断力やデータ分析力を養うことができる。
  • 実践スキル科目群では、実社会や科学界で要求される実践的な技能、あるいは汎用性の高い基礎能力である外国語によるコミュニケーション能力などを習得できる。

専門科目は、地球圏・生物圏・人間圏の3つの領域における科目群と領域共通である山岳科学セミナーおよび山岳科学研究で構成される。

  • 各領域における専門科目では、特定の分野について高度な専門知識や技能を習得できると同時に、複数領域の科目を横断的に履修することで学際的・応用的な想像力や課題発見力を養うことができる。
  • 山岳科学セミナーでは、セミナー形式の演習により先端的な知識を学ぶと同時に、プレゼンテーション能力・質問力・洞察力を向上させることができる。
    山岳科学研究では、修士論文作成に向けた準備、研究の遂行、そして論文執筆に至る一連のプロセスを教員の指導のもとで体験する。そこでは、構想力・計画力・実行力・検証力ならびに論理的・科学的記述技能を鍛え上げることができる。

修士論文研究指導に関する方針

修士論文研究を進めるにあたり、充実した教育ができるようアドバイザリーコミッティーを設置して、複数の教員が指導を行う体制を作る。

  1. アドバイザリーコミティーは、研究指導担当教員を含め本学位プログラムの教員2名以上から構成する。またアドバイザリーコミティーは連携大学の教員を1名入れることもできる。
  2. アドバイザリーコミティーは、担当学生の研究進捗状況を確認し、学生への指導、助言を行う。
  3. 研究指導担当教員は、指導学生が2年次になった段階で「研究進捗状況報告書」を作成し、アドバイザリーコミティー全員で内容を確認した後、学位プログラム長に報告する。

ディプロマ・ポリシー(学位授与に関する方針)

学位審査にあたっては、修士論文が審査において合格することに加えて、以下の能力を有することが最終審査で認定されることが望ましい。

  1. 論文の問題設定が明確に示され、山岳科学分野において学術的あるいは社会的な意義を有するとみとめられるか。
  2. 研究主題の探求に際して,利用した文献や資料が適切に提示及び評価され、論旨を展開するうえで適切に言及されているか。
  3. 研究主題探求のために採用された、理論、実験、調査などの研究方法は適切か。
  4. 問題設定から結論にいたる論旨が実証的かつ論理的に展開されているか。また導き出された結論が山岳科学分野において新規性または有用性があるか。
  5. 学位論文として体裁が整っているか。