「枯死木編」

 日本の山々の大部分は森林に覆われています。森林には様々な役割や働きがあり、それらは山の恵みというかたちで私たちが認識できるものもありますが、重要な働きや役割なのだけど認識しにくいものもたくさんあります。山を知る・調べるうえで、それらを後生が利用できるような形で正しく記述することが重要だと考えています。

 今回紹介するのは、枯死した木、枯死木の調査方法です。森林というと緑豊かな生木を想像されるかもしれませんが、枯死木も森林の重要な要素の一つです。地味にみえる枯死木にも昆虫や菌類等の生育の場のほかに、森林内の水や物質の流れを変える機能や炭素の長期隔離機能があるため、枯死木に関する研究は少なくありません。しかし、難しいのはその調べ方です。枯死木には、立ち枯れ木、森林内に転がっている倒木、或いは土壌中にある枯死木など多様な存在形態がありますし、腐朽程度も様々です。このような枯死木を調べる方法として最も正確なのは、森林内を歩き回り、すべての枯死木の大きさ、重さ、種類、腐朽程度等を記述するという非常に原始的な方法です(写真)。レーダー等を用いた観測も期待できますが、現状では”足で稼ぎ、目で確認する”方法に勝るものはありません。

 ”山を知る”ためには、先に紹介されているDNA情報を駆使したハイテクな研究からこのようなローテクな研究も大切です。

写真:枯死木の調査風景とデータの一部(三宅島噴火跡地での調査のようす)

参考文献

廣田充(2017)噴火跡地の枯死木をはかる,森林科学, vol.79、p38-39.