筑波大学、山梨大学、信州大学、静岡大学と林野庁関東森林管理局及び中部森林管理局の連携と協力に関する協定の締結継続について

国立大学法人筑波大学、山梨大学、信州大学及び静岡大学は相互に連携し、地形や気象、生物多様性等山岳環境の課題解決に貢献できる専門家の育成を目的として、平成29年度から山岳域における新たな人材育成(修士課程)プログラムを開始しました。これに伴い、各大学でのプログラムを、さらに山岳、森林の現場と結ぶべく、4大学と関東森林管理局及び中部森林管理局との間で、山岳域における諸課題の解決に必要な高度専門人材の育成、調査研究、技術開発等について連携、協力して取り組むための協定を、平成29年に締結し、継続してきました。  

この度、協定期間の満了を迎えるに当たり、本協定が各締結機関にとって有益であること、さらには本協定に基づく取組をより一層進展させることを確認するとともに協定の継続について合意したことから、新たに令和7年4月1日より令和12年3月31日までの協定を締結しましたのでお知らせします。

本協定について 
1.協定の名称
山岳科学の発展に向けた国立大学法人筑波大学、国立大学法人山梨大学、国立大学法人信州大学及び国立大学法人静岡大学と林野庁関東森林管理局及び中部森林管理局の連携と協力に関する協定書

2.協定の期間
令和7年4月1日 ~ 令和12年3月31日
 
3.協定の内容
 国立大学法人筑波大学、山梨大学、信州大学及び静岡大学の4大学と、中部山岳地域の国有林を管轄する林野庁関東森林管理局及び中部森林管理局の間で連携及び協力した取組を行い、山岳域における諸課題の解決に必要な高度専門人材の育成、調査研究、技術開発等を行うものです。
具体的には、以下の連携及び協力を予定しています。
(1)森林管理局は大学の求めに応じ、中部山岳地域における国有林野等を活用した教育、試験・研究のためのフィールドの提供及び技術開発や研究の成果、資料等の提供へ協力する。
(2)大学は森林管理局の求めに応じ、森林管理局が取り組む技術開発、調査研究等に対して指導及び助言を行う。

本協定に基づくこれまでの取組と今後の予定 
 筑波大学、山梨大学、信州大学及び静岡大学では例年9月に開催する4大学の学生が参加できる山岳科学フィールド実習で、中部森林管理局及び東信森林管理署の協力のもと、浅間山国有林でのカラマツを対象に種子の採取から、苗の植え付け、下刈り、精英樹(形質の優れた個体)の選抜及びその育種的利用、さらにはカラマツ林育成に伴うシカ等による獣害管理の現場を訪れました(写真1)。参加学生は、森林の現場で活躍する林野庁職員と意見交換することで、授業で習った知識をより深く理解でき、また各自の研究テーマにも新たな視点を持つ等、学生にも好評な実習となりました。また、コロナ禍の中、2021年には浅間山国有林での模擬実習のための動画収録等を行いました。2021年には関東森林管理局の赤谷森林ふれあい推進センターやみなかみ町、地域住民の協力を得て、赤谷の森の森林管理、生物多様性保全、地域のまちづくりについて実習を行いました(写真2)。コロナ禍で、オンライン授業が多く、野外実習を多くできなかった時期に、本実習は学生らにとって現場で山岳科学を感じる貴重な機会となりました。
 山岳科学教養論では関東森林管理局森林整備部長による林野行政の概要や取組についての講義があり、学生は、日本の森林の利用・管理や木材生産や生物多様性保全等、多面的に学びました。また省庁に就職希望の学生からは林野庁の特徴や、他省庁との違い等多くの質問等もありました。さらに、4大学の学生と両局若手職員との意見交換、業務紹介等を目的としたセミナーも実施しました。これらの取組は、両局の林業技術交流会の他、2022年3月に日本森林学会において、大学院レベルでの森林教育事例として発表しました。
 また、大学と森林管理局の個別の取組も生まれました。各大学の教員、学生による国有林での学術調査も積極的に行い、気候変動、気象観測、風害、土壌呼吸、炭素循環、野生動物管理、植生、森林に生息する様々な種の生態調査、生物多様性、遺伝的多様性等、多岐に渡る研究が関東及び中部森林管理局管内の国有林で実施されました。
これからの5年間の協定では、以下を新たな取組として強化し、将来の日本の森林を担う人材育成に努めていきます。
・学生らの研究プロジェクトにおける連携強化
・4大学が毎年開催している山岳科学学術集会と関東森林管理局及び中部森林管理局が毎年開催している森林・林業技術等交流発表会の相互人材交流による連携強化


参考写真 


写真1 長野県御代田町の浅間山国有林でカラマツの採種、造林、獣害被害対策等について学ぶ実習風景(2023年9月)




写真2 群馬県みなかみ町・赤谷の森にて森林管理・生物多様性保全について学ぶ実習風景(2021年11月)


問合わせ先 
津田 吉晃(つだよしあき)
E-mail: tsuda.yoshiaki.ge[at]u.tsukuba.ac.jp
筑波大学生命環境系・山岳科学センター菅平高原実験所(准教授)
Tel: 0268-74-2002

岩田 智也(いわたともや)
山梨大学大学院総合研究部生命環境学域(教授)
Email: tiwata[at]yamanashi.ac.jp
Tel: 055-220-8339

安江 恒(やすえこう)
信州大学学術研究院農学系・先鋭領域融合研究群社会実装研究クラスター山岳科学研究所(准教授)
Email: yasue[at]shinshu-u.ac.jp    
Tel: 0265-77-1300(代)

今泉 文寿(いまいずみふみとし)
静岡大学学術院農学領域(教授)
E-mail: imaizumi[at]shizuoka.ac.jp
Tel: 054-238-4845

林野庁関東森林管理局技術普及課  
Email: kanto_gijutufukyuuka[at]maff.go.jp
TEL:027-210-1175

林野庁中部森林管理局技術普及課
Email: c_fukyu[at]maff.go.jp
TEL:050-3160-6553