修了生からのメッセージ(木附さん)

論文受理の報告にあたって,木附さんから,とくに進学を検討中の方々を念頭に,以下のメッセージをいただいています。

今回、指導教員からの長期にわたる手厚いご指導に加え、多くの先生方から多大なご支援をいただいたことで、修士論文をもとにした研究が国際誌に掲載されました。修士課程での学びや研究が一つの成果として形になり、大変嬉しく思います。この場をお借りして、修士課程で学んできたことと現在の仕事との関連について少し紹介させていただきます。

山岳科学学位プログラムを修了してから6年半が経ち、現在私は報道カメラマンという仕事をしています。日々の事件・事故や選挙・災害のニュースに加えて、専門性の高い山岳取材や山岳番組の制作にも携わってきました。仕事で多くの現場や様々な取材相手と関わる中で、山間部での災害や環境保全、地域振興、歴史・文化など、山にまつわる話題に触れる機会がたくさんあります。こうした現場に立っていると、山をめぐる課題というのは一つの専門分野だけでなく、多角的な視点から考えることが必要だと感じることがよくあります。こうした山の捉え方はまさに山岳科学学位プログラムで学んだことの一つでした。

地形学を専門としていた私にとって、それまであまり触れてこなかった山の植生や生物多様性、山で営まれてきた人々の歴史や信仰、そして人と自然とが共生するための自然保護のあり方など、幅広い分野に触れたことは、大きな学びとなりました。異なる分野の先生方や学生との交流、そしてフィールドワークを通して、自分の専門分野では得られなかった知見に触れ、視野を大きく広げることができました。

これらの経験があったからこそ、現在の報道カメラマンという仕事につながり、山岳取材や番組制作に携わることができています。山岳科学学位プログラムで身につく分野横断的な知識や、国内外での数多くのフィールドワークの経験は、今後どのような分野の仕事や研究に携わる上でも大きな力になってくれる、とても貴重な財産になります。純粋に「山が好き」という気持ちを出発点に、幅広い視点から山について学び、山にまつわる疑問を科学的に追究してみたいという方にとって、山岳科学学位プログラムは非常に有意義な経験になります。ぜひこの環境で学んでほしいと思います。