DNAを用いて森林を調査するとこれまで見えなかったことが分かります。例えば小さな苗のDNAを調べるとその両親を森の中から捜し出すことができます。これは人で行われている犯罪捜査や父親鑑定などのDNA解析技術と全く同じことで、樹木を含む植物でも同様のことができるようになりました。森の多くの木々の中から苗の父親と母親を捜すことが可能です(図)。そのため花粉がどれくらいの距離を運ばれていて、種子がどの範囲まで飛散しているかの調査が可能となっています。これらを調べることによって健全な森林を維持するためにはどの程度の個体数や密度が必要かどうかを明らかにできます。特に稀少種や個体密度の低い種には重要な研究となります。